ベンゼンとトルエンの性状
ベンゼンとトルエンは、ベンゼン環をもつ芳香族炭化水素で、どちらも第4類の第1石油類(非水溶性)に該当します。トルエンは、ベンゼン環の水素原子1つがメチル基(−CH₃)に置き換わった構造です。塗料・接着剤などの溶剤や、化学製品の原料に使われます。
ベンゼン C₆H₆
トルエン C₆H₅CH₃
性状の比較
表は横にスクロールして確認できます。
| 項目 | ベンゼン | トルエン |
|---|---|---|
| 品名 | 第1石油類(非水溶性) | 第1石油類(非水溶性) |
| 指定数量 | 200 L | 200 L |
| 外観 | 無色透明の液体で、特有の芳香がある | 無色透明の液体で、特有の芳香がある |
| 引火点 | −11 ℃ | 4 ℃ |
| 発火点 | 約498 ℃ | 約480 ℃ |
| 沸点 | 約80 ℃ | 約111 ℃ |
| 融点 | 約5.5 ℃(0 ℃では固体) | 約−95 ℃ |
| 液比重 | 0.88(水より軽い) | 0.87(水より軽い) |
| 蒸気比重 | 約2.7(空気より重い) | 約3.1(空気より重い) |
| 燃焼範囲 | 約1.2〜7.8 vol% | 約1.1〜7.1 vol% |
| 溶解性 | 水に溶けない。アルコールなどの有機溶剤に溶ける | 水に溶けない。アルコールなどの有機溶剤に溶ける |
| 毒性 | 強い。蒸気を吸い込むと中毒を起こし、発がん性がある | ベンゼンより弱いが、蒸気を吸い込むと中毒を起こす |
- 引火点と沸点は、ベンゼンのほうが低くなっています。
- ベンゼンは融点が約5.5 ℃と高く、冬季には凝固することがあります。凝固していても可燃性蒸気を発生するため、引火の危険があります。
- キシレン(第2石油類)を含めた比較は、キシレンの性状で確認できます。
燃焼範囲
どちらも燃焼範囲の下限値が約1 vol%と低く、わずかな蒸気でも燃焼範囲に入ります。
ベンゼン 1.2〜7.8
トルエン 1.1〜7.1
ガソリン 1.4〜7.6
危険性
第4類に共通する危険性は、第4類に共通する火災予防・消火方法で確認できます。ここではベンゼン・トルエンに特有の危険性をまとめています。
- 引火点が常温より低く、常温でも点火源があれば引火する。
- 電気の不良導体で、流動などによって発生した静電気が蓄積しやすい。
- 蒸気を吸い込むと中毒を起こす。ベンゼンの毒性はトルエンより強く、発がん性がある。
火災予防
- 換気をよくし、蒸気を吸い込まないようにする。
- 容器や設備を接地し、流速を遅くして静電気の発生と蓄積を防ぐ。
消火方法
どちらも水に溶けず水より軽い液体なので、泡・二酸化炭素・粉末などで燃焼面を覆う窒息消火を行います。消火方法は、第4類に共通する火災予防・消火方法の「水に溶けない液体」に当たります。
外観・引火点・発火点・沸点・融点・液比重・蒸気比重・溶解性・毒性は、ILO・WHO 国際化学物質安全性カード(ICSC 0015、0078)による。ベンゼンの融点はICSCでは約6 ℃。燃焼範囲は、キシレンの性状と同じ資料の値(ICSCではベンゼン1.2〜8.0 vol%)。