酸化プロピレンの性状
酸化プロピレンは、炭素原子2つと酸素原子1つが環をつくる構造をもつ有機化合物で、第4類の特殊引火物に該当します。引火点が−37 ℃、沸点が約35 ℃と低く、常温で多量の可燃性蒸気を発生します。特殊引火物の中では、アセトアルデヒドと同じく水によく溶けます。
性状
| 品名 | 特殊引火物 |
|---|---|
| 指定数量 | 50 L |
| 化学式 | CH₃CHOCH₂(酸素原子を含む三員環をもつ) |
| 外観 | 無色透明の液体で、エーテルのような臭気がある |
| 引火点 | −37 ℃ |
| 発火点 | 約449 ℃ |
| 沸点 | 約35 ℃(非常に揮発しやすい) |
| 液比重 | 0.83(水より軽い) |
| 蒸気比重 | 約2.0(空気より重い) |
| 燃焼範囲 | 約2.3〜36 vol%(広い) |
| 溶解性 | 水によく溶ける。アルコールなどの有機溶剤にも溶ける |
| その他 | 重合する性質があり、重合するときに熱を発生する。蒸気を吸い込むと有害 |
燃焼範囲
酸化プロピレンの燃焼範囲は約2.3〜36 vol%で、ガソリンよりはるかに広くなっています。参考として、ほかの特殊引火物とガソリンも並べています。
酸化プロピレン 2.3〜36
ジエチルエーテル 1.9〜36
二硫化炭素 1.3〜50
アセトアルデヒド 4.0〜60
ガソリン 1.4〜7.6
特殊引火物の比較
特殊引火物は、1気圧において発火点が100 ℃以下のもの、または引火点が−20 ℃以下で沸点が40 ℃以下のものです。指定数量はいずれも50 Lです。
表は横にスクロールして確認できます。
| 物質 | 水への溶解 | 引火点 | 沸点 | 発火点 | 燃焼範囲(vol%) | 液比重 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ジエチルエーテル | わずかに溶ける | −45 ℃ | 約35 ℃ | 約160 ℃ | 1.9〜36 | 0.71 |
| 二硫化炭素 | 溶けない | −30 ℃以下 | 約46 ℃ | 約90 ℃ | 1.3〜50 | 1.26 |
| アセトアルデヒド | 溶ける | −38 ℃ | 約21 ℃ | 約175 ℃ | 4.0〜60 | 0.78 |
| 酸化プロピレン | 溶ける | −37 ℃ | 約35 ℃ | 約449 ℃ | 2.3〜36 | 0.83 |
水に溶けるのは、アセトアルデヒドと酸化プロピレンです。ジエチルエーテルは水にわずかに溶け、二硫化炭素は溶けません。
危険性
第4類に共通する危険性は、第4類に共通する火災予防・消火方法で確認できます。ここでは酸化プロピレンに特有の危険性をまとめています。
- 引火点が−37 ℃と低く、冬季の低温でも引火の危険がある。
- 沸点が約35 ℃と低く、夏季には気温が沸点を超えて激しく気化することがある。
- 重合する性質があり、酸や塩基などに触れると激しく重合することがある。重合するときの発熱が、火災や爆発の原因になる。
- 蒸気を吸い込むと有害で、皮膚や眼に触れると炎症を起こすことがある。
火災予防
- 直射日光を避け、冷所に貯蔵する。
- 容器は密栓する。貯蔵タンクなどには、窒素などの不活性ガスを封入する。
- 取り扱う設備には、銅・マグネシウム・銀・水銀や、これらを成分とする合金を使わない。
消火方法
水溶性の液体なので、一般の泡は溶けて消えてしまいます。泡で消火するときは、水溶性液体用泡消火剤(耐アルコール泡)を使います。二酸化炭素・粉末による窒息消火も有効です。消火方法は、第4類に共通する火災予防・消火方法の「水に溶ける液体」に当たります。
外観・沸点・液比重・蒸気比重・引火点・溶解性・重合性は、ILO・WHO 国際化学物質安全性カード(ICSC 0192)による。発火点・燃焼範囲は、ほかの特殊引火物の資料と同じ値(ICSCでは発火点約430 ℃、燃焼範囲1.9〜36.3 vol%)。設備の材質は危険物の規制に関する規則第13条の9、不活性の気体の封入は同第40条の3の3。